当社の特徴と今後の事業展開
杉並区荻窪の地で大正13年(1924年)より創業90年続くお蕎麦屋を営んでいます。私で四代目となります。当社は自家製の粗挽きの粉を使い、引き立ての風味と香りを味わって頂く事を大切に、1日平均7ー8回そば粉から石臼で引いて提供しています。今後は、ただ店舗を増やすのではなく目の届く範囲でより多くの職人を育成し、この味を守りながら技術を伝承していきたいです。
人材に対する想い
本当のそば職人として一人前になるには、やはり10年程度はかかります。その為、従業員には長く働いて欲しいと思い、安心して働けるような福利厚生を整えています。具体的には、本むら庵の隣に1Kの社員寮を用意し、1万円で貸与していますし、食事も2食つけております。また、私自身、前職がサラリーマンということもあり、会社としての評価制度も整え、本人の習熟度に応じて目に見える形で評価が得られるようにしています。こういった評価制度があるのは職人の世界では少し珍しいかも知れません。こうした制度を整えているのは、本むら庵で働く間に、心身ともに健やかな状態でしっかり技術を身につけ、さらには独立に向けての資金づくりもできれば、将来を楽しみに働けると思うからです。もちろん、独立せずに残って一緒にお店を発展させる人になってくれることも大歓迎ですし、実際にそういう方も活躍してくれています。
育成への取り組み
本むら庵のおそばは粗挽き粉ですので通常よりも難しい技術が必要になります。その技術を身につけるために、1つ上の先輩が後輩に教えるという風土があります。1つ上の先輩が後輩に技術を教えていきながら、周囲の人も家族のように接していて、困ったことがあれば相談にのり助けくれています。私自身も一緒に現場に立ち、常に目の届く範囲で一人一人がどのように働いているかを見守っていまして、分からないことがあればすぐに聞くこともできますし、先輩の技術を間近で見て学ぶことができます。未経験の方ですと包丁を持つまでに1年。そばを打つまでに最低3年はかかりますが、後輩が自分の担当している持ち場を出来るようにならないと先輩自身が上の持ち場を担当できませんので、皆後輩へ熱心に指導してくれていますよ。こういった技術を伝承していく職場環境を整える事こそが私が一番大切に考えている取り組みです。