当社の特徴と今後の事業展開
創業以来、環境資源に恵まれた灘で地産地消を大切に日本酒造りを営んできました。近年、海外ではワインを中心に「環境負荷の少ないアルコール飲料の製造」が浸透。当社も海外市場を見据え、製造過程でのCO2排出が実質ゼロの日本酒「福寿純米酒 エコゼロ」を、世界で初めて開発しました。今後も、美味しい日本酒であることはもちろんのこと、サステナビリティを意識し、経済価値と環境価値を両立した酒造りを進めていきます。
人材に対する想い
日本酒造りは杜氏や蔵人の長年の経験、技術によって支えられてきました。一方、朝3時からの作業や力仕事、時にはサウナのような高温下でのなど麹づくりなど、労働環境は過酷で若い担い手が減少。業界全体の高齢化が進み、いかに次世代に日本酒造りをつないでいくかが課題でした。そこで、センサーを活用した温度管理、エアシューターの導入、感覚に頼っていた部分の数値化・データ化など、ICTを活用し作業負担を大幅に軽減。働きやすい環境を整えた結果、若いスタッフの入社が進んだだけでなく、より美味しい日本酒造りに向き合う時間が増え、製造工程の見直しなど、品質向上への取組みも強化。結果、国内外問わずコンクールで受賞する商品が続々と誕生しました。「トラディションとイノベーション」をキーワードに日本酒造りに取り組んでいますが、その源は人の力です。技術革新を進めつつ、人が主役となれる職場環境に磨きをかけていきます。
育成への取り組み
1995年の大震災をきっかけに、外部環境の変化に対応できる「柔軟かつ合理的な組織」にならねばならないと考えるようになりました。長年、酒造り一筋だった事業に加えて観光、飲食事業に着手。複数の柱を持つことで、より地域とともに成長できる土壌を整えました。最近ではNPO法人や大学、他企業と協力し農業振興や地域振興にも取り組んでいます。社内においては「多能工化」をテーマに各部署の連携を強化。醸造部の酒造りは冬場が中心のため、夏場は他部署の支援に回る、コロナで観光事業が落ち込んだ時は展示会で営業のサポートに回るなど、部署を超えてコミュニケーションを取ることで刺激し合い、成長できる環境を整えています。今後は既存マーケットに囚われず、「エコゼロ」のような時代に沿った製品を上手く活用し、自身でマーケットを生み出すようなチャレンジングな人材の育成にも取り組んでいきたいと考えています。